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真由美の一日(8) 

カテゴリ:偉大なる助平

 階段をそろりそろり昇り、好男の部屋の隣――沙世の部屋だ――に忍び込む。もちろん沙世は不在。今は隣町まで塾に通っているそうだ。色事家では唯一まともに生きているといえそうだ。
 沙世の部屋は女の子らしくパステル調の家具で統一されている。そして、ベッドには大量のぬいぐるみが――ただしマッチョな男の人形ばかりが置いてある。壁にはボディビルダーらしき男性がぶっとい筋肉を見せつけているポスターが。まともかと思ったが、沙世もちょっと残念な子らしい。
 極太は沙世のベッドにあがり、好男の部屋に面しているらしい壁に耳を当てる。
 ニヤニヤしている。それはけっして息子の成長を喜んでいる父親の表情ではない。
「真由美ちゃんも来な。いま、いいところみたいだぜ」
「え、でも」
「向こうは真っ最中だから気づきゃしねーよ」
 おいでおいでする。真由美としては、ここで騒いで、好男たちにばれるのが一番困る。
 極太はこういう「おもしろいこと」を見逃さない。真由美が一人ここを離れたら、極太がどう事態を悪化させるかわからない。
 しぶしぶ真由美は極太の側に移動した。ベッドはなかなかしっかりした造りで、ギシリとも音をたてない。
「壁に耳をくっつけてみなよ」
 言われた通りにすると、おどろくほど鮮明に隣の部屋の様子が伝わってきた。
『ほ、ほんとに、いいの……?』
 好男の声。わずかに震えている。表情さえ思い浮かぶ。
『うん……いい……よ』
 美琴の声。元々か細い声だが、好男のそれよりは、はるかにしっかりしている。
 覚悟をしてきたのだ、美琴は。
 衣擦れの音。美琴が自分で脱いでいるのか、好男が脱がせているのか。
 たぶん、美琴は自分で脱いでいるのではないか。そんな気がする。
『き、きれいだ……美琴ちゃん』
 美琴の裸は美しい。体育の着替えなどで真由美はそれをよく知っている。絹のようになめらかな白い肌。胸は意外に大きく、乳首は淡いピンク。腰がくびれた女らしい体つきに、長い脚。同性の真由美からしても、動悸が速まるのを抑えられない美しさだ。
『好男くんも……脱いで』
『お、あ、ああ』
 あわただしく応じる好男。真由美のすぐ後ろでは極太が吹き出しそうな表情を浮かべている。
「あいつ、童貞でもあるまいに、なーにキョドってるんだ?」
 どうなんだろう、と真由美は思う。
 スカートめくりや胸にタッチしたり、そんなイタズラは子供の頃から続けてきた好男だが、肝心なところでは思い切りが悪い気がする。
 なんとなく、好男はまだ女の子と、そういうことはしていないような気がする。真由美の願望かもしれない。
『み、美琴ちゃん……』
『キスして……』
 積極的な美琴。覚悟を決めた美琴は強い。
『わたしたち、つきあってるんだよね……? だから、いいんだよ』
 美琴が諭すように、導くように囁く。
「ああ、じれってえな。女の子から誘ってくれてるってのに」
 極太がいらいらした様子で舌打ちする。
「なんだったら、おれが出て行って……」
「っ! どうする気なんですか!?」
 思わず声を漏らす真由美。極太は照れたように頭をかく。
「やー、おれも参加しようかと」
 このヒトならやりかねない。真由美は極太の腕に手をかけた。この部屋から出て行かせないためだ。

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