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真由美の一日(6) 

カテゴリ:偉大なる助平

帰宅――前

「今日ね、好男くんちに遊びに行くんだ」
 下足室で美琴が真由美にささやいた。
「だからね、その……今日は真由美ちゃん家に行ってるってことにして?」
 心にズンと来る一言だったが、真由美は笑顔を作った。
「合点承知、よ。で、今日こそはいよいよ……ってわけ?」
「そっ、そんなっ! ちがっ、ちがうよぉぉ」
「だって家の人に嘘ついてまで……ってことは」
「だから、うち、そういうの厳しいから……もお真由美ちゃんの意地悪」
 美琴の家は厳しく、男女交際などもってのほか、門限も六時と厳しい。だが、真由美のことは美琴の両親にも気に入られており、真由美と一緒ということであればその門限がすこしゆるくなるのだ。
「がんばって、美琴」
「うん……真由美ちゃんもね」
「へ? あたし?」
「うん。なんだか真由美ちゃん無理してるみたいなとこあるから……困ってることがあったら何でも言ってね」
 まさか、さっきまで映研の部室で男子生徒二人に犯されていた、などと言えるわけがない。
 真由美は力こぶを作ってみせる。
「そんなー、ぜんぜんヘーキだよっ! ほらっ、元気、本気、岩鬼! ゃぁ~まだ!」
「真由美ちゃん、そのネタ、古すぎて誰もわかんないと思う」
 ――美琴には通じたようで、よかった。
 と、その美琴が言いにくそうに切り出す。
「ね、真由美ちゃん……よかったらだけど、好男くんちに一緒に行ってくれない?」
「え、どして」
「やっぱり緊張するっていうか……好男くんが出てくるまででいいから」
 美琴の顔色は心なしか青い。もともとあがり症で臆病な性格だ。最近はずいぶん明るくなったが(それも好男が何か関係しているようだが)、それでも、彼氏の家に初めて招かれるというのはプレッシャーらしい。
「ま、いいけど。どうせ、帰り道だし」
 本当のところは色事家を訪ねるのは気が引けるが――それでも、こういうきっかけでもないと縁遠くなってしまうばかりだ。
 それを思うと、すこし心が痛い。
 彼女にはなれなかったけど、幼稚園からの腐れ縁――幼なじみでは、いたい。
 色事家には程なく着いた。
 緊張してなかなか呼び鈴を押せない美琴に代わって真由美が呼び出してやる。
 待ちかねていたのだろう、好男が迎えに出て、真由美を見て少し固まる。
「よ、よお、真由美も一緒だったのか」
「ごめんね、お邪魔虫がついてきて。だいじょうぶ、あたしはすぐに帰るから」
 好男の反応は当然だと思いつつ、やっぱり憎まれ口をきいてしまう。
 美琴を振り返り、その手を握ってやる。
「変なことされそうになったら、大声を出すのよ……なんちゃって」
「真由美ちゃん……帰っちゃうの?」
「そりゃあ、マジでお邪魔でしょうが」
 真由美としても、好男と美琴がいちゃつく現場に居合わせたくない。泣きたくなる。
「――真由美、帰るなよ。ゆっくりしてけよ、今までみたいに」
 ああ、バカのくせに、なんでそんな真面目な顔すんのよ――好男のくせに!
 好男が本気で真由美を引き留めたがってるのがわかる。それは嬉しい。でも、帰らずに、図々しく家に上がったら、せっかくの美琴と好男の時間を壊してしまう。
「帰るわよ、バーカ!」
 好男にあっかんべ、美琴には手を振って、色事家の前から去る。しばらく真由美を見送っていたようだが、じきに美琴を連れて好男が家に入っていくのが真由美にはわかった。門扉の音、玄関の戸の音で、わかる――
 真由美の頬にあたたかい雫が、こぼれる――

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