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絶対破廉恥ルドレン 2nd Sex ザ・ハウンド応答せよ act.3 

カテゴリ:絶対可憐チルドレン

 縦濱港エリア、別の一区画にて――

「初音ちゃんが?」

 三宮紫穂が、皆本に触れて、小鹿からの連絡を勝手に読み取った。

「初音がどないしたん」

「また暴走か?」

 野上葵と明石薫が聞き返す。三人とも、もちろんザ・チルドレンの制服に身を包んでいる。

「違うわ、ナオミちゃんの居場所の手がかりを掴んだ直後、連絡が途絶えたみたい」

「なんやて!」

「ど、どこだよ、それ! すぐに行こうぜ!」

 今にも飛び出していきそうになる薫。

 深夜に近い時間帯だが元気いっぱいだ。とにかく、今夜中にナオミを救出せんものと張り切っている。

「こら、紫穂、また勝手に」

 皆本は渋い顔をした。

 ザ・チルドレンが担当した地域は、紫穂が中心になって探索をおこなったが、結果はシロだった。(別件の密輸取引を発見し、薫の超能力で組織を壊滅させたという余禄はあったが)

 明日は学校もあるし、そろそろ撤収すべきか、それとも別のチームに合流すべきかを考えていた矢先の応援要請だった。

「とにかく、初音くんからの連絡が途絶えたあたりに急行だ。敵がいるかもしれない。充分、気をつけるなんだ」

「了解っ!」

「わかってるって」

「じゃ、皆本さん、後でね」

 葵のテレポートで消え去る三人。紫穂が読み取った小鹿からの応援要請には、初音がいなくなったあたりの位置情報も含まれている。

「……ったく」

 皆本はため息をついた。日に日に手に負えなくなっている。だが、あの三人の働きがなければ、敵をここまで追い詰めることもできなかったはずだ。

「まあ、今のあいつらなら大丈夫だろう」

 そう楽観することにして、自分も移動を開始する。

 歩きながら、初音が消えたというポイントを携帯端末の地図検索で調べ始める。

「このエリアは……まさか!?」

 皆本の顔色が変わる。慌ただしく端末を操作する。本部への緊急コールだ。

「局長ですか!? 蕾見管理官をお願いします! 大至急で!」



「旧日本軍の超能力開発実験――それが源流のひとつではあるのだよ」

 その声を発したのはミイラのようにひからびた老人だった。寝間着にローブを羽織ったくつろいだ姿で車椅子におさまっている。その車椅子からはさまざまなチューブがのびて、老人の身体につながっているようだ。

 しわだらけ、しみだらけの顔が時折歪むのは、苦痛のためか、それとも、笑っているのか。その傍らには大型のドーベルマンが忠実な警護者のように控えている。

 老人と犬をモニターごしに眺めて、兵部京介は小さく鼻を鳴らした。そこは兵部の私室で、周囲には誰もいない。この映像による会見は兵部に直接に持ち込まれたもので、真木も知らない極秘のものだ。

 逆にいえば、この老人は、兵部と直接のパイブを持っている存在ということになる。

「そうは言ってもね、ご老人。あなたたちの系列は、ぼくとはまるで関係ない」

「ご老人、か、確かにおまえさんよりわしは年寄りに見えるだろうが、しかし、実際はそんなに変わりはせんだろう?」

「精神的にもきみたちは老いさらばえているようだね。とにかく、ご提案には興味がない。そもそも、B.A.B.E.L.の所属とはいえ、きみたちが苦しめているのは、本来ぼくたちの仲間であるべきエスパーだ。ぼくの気がかわらないうちに、とっとと墓場に戻るんだね。もちろん拉致監禁したエスパーはすぐに解放するんだ。さもないと、今度はパンドラがきみたちの敵となる」

 兵部の視線は冷たかった。

 だが、モニターの中の老人はまったく動じることなく、顔をしわに埋没させた。やはり、笑っていたらしい。

「しかし、B.A.B.E.L.を崩壊させ、超能力者と普通人を対立させるという我らの計画は、おぬしたちにとって悪い話ではなかろう。おぬしらの計画も何年か前倒せように」

 ぴくり、兵部の眉が動く。

「現在の社会はあまりにいびつ。超能力なしに産業や経済は立ちゆかぬというのに、普通人は社会の実験を超能力者に奪われることを恐れ、押さえつけようとする。超能力者は迫害されてもちろん不満をためる。両者の軋轢は増すばかりだ。それを何とかしたい動きがみっつある」

 老人は兵部が黙ったのを機会ととらえたか、持論を述べ立てる。

「ひとつは、超能力者による超能力者のための社会を築こうとする者たち――パンドラ。
 もうひとつは、普通人によって超能力者を管理しようとする者たち――B.A.B.E.L.
 そして、最後のひとつが、普通人と超能力者が殺し合う世界を創り出そうという者たち――つまりわれわれだ。
 ESPレイパーズによる社会活動はその策動のひとつに過ぎぬ」

「戦争マニアの老いぼれめ」

 兵部は吐き捨てた。だが、その声には若干の弱々しさもある。

「おぬしたちの手段は、われわれの目的と一致する――つまり、戦争だ。おぬしたちは、超能力者の自由のための戦争を欲している。われわれは、ただひたすら戦争を欲している。見事に利害は一致する」

 日本は、

 と、老人は言った。

「日本は惰弱になりはてた。何が欠けたか。それは、生死を賭けた戦いだ。かつてコメリカと血みどろの戦いを貫いた時代、日本人は美しかった。透明なエネルギーに満ちていた。よき敵を持つこと、それは人生を美しくする。強い敵があるからこそ、家族を愛しく思える。守ろうとする。義務を果たそうとする。若ければ若いほど理想に殉じようとし、年老いれば老いるほど愛しき者のために雄々しくなる。それこそが人としてのあるべき姿。なればこそ、戦争を起こすべきなのだ。それもお互いにとって最強の敵と。すなわち、超能力者の天敵は普通人。その逆も然り」

「――ノーマルとエスパーの戦争はいつか起きる。きみたちのような亡霊が蠢かなくても」

「かもしれんが、わしが待てぬ」

 老人が目を細める。車椅子から伸びたチューブの中をどろりとした何かが通過する。それが体内に入り、老人は目を大きく見開いた。骸骨にむりやり義眼をはめたかのような不釣り合いな巨大な目玉。

「ああ、戦争がしたい、したいしたいしたい、したいのぉ。たくさん人が死ぬところを見たい。町が燃えるところを見たい。幼子が親を失って泣き叫ぶところが見たい。見たいのだ」

 兵部の拳がスクリーンを破壊する。砕け散る破片のなかで老人の笑顔が無数に増殖した。

「知っておるぞ、おぬしらこそ戦争をあせっておる。なぜならば、おぬしらが渇望する女王たちは、今やB.A.B.E.L.に飼い慣らされようとしておる。未来は明らかに変わりつつある。その流れを引き戻し、女王たちを手中にするには、わしらの行動はありがたいのじゃろう? だからこそ静観しておったのだろう? ならば手を結んだ方が早いというのがなぜそんなに気に入らぬ? わからんのう、超能力者の考えることは、ほんにわからん……」

                                   つづく

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