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美耶子のバレンタイン大作戦 ~2日目~ (2) 

カテゴリ:うたかた 美耶子のお仕事

      美耶子のバレンタイン大作戦
            ~2日目~

               2 

 と、いうわけで。
 札幌市内、午後六時。
「バレンタイン記念、美耶子とおにいちゃんのファンミーティング、いん、さっぽろー!」
 きわどいマイクロビキニだけを着用した美耶子がカメラに向かって元気な声をあげると、背後にいたおよそ十人ものパンいちの男たちが「うおおおお」とか奇声をあげる。
 ここは、すすきのにあるラブホテルのVIPルームだ。十人以上が入れて撮影可能な場所を探して、なんとか交渉したのだ。
 当選者たちへの連絡も厄介だったが、札幌市内在住者がほとんどだったのと、来れなかったら当選取り消しの脅しが効いたのか全員集めることができた。
 それぞれ顔出はNGなので、当選者たちは全員、目出し帽着用だ。
 その男たちがブリーフやトランクスのみのパンツいっちょの格好で、マイクロビキニの少女(小学四年生)を取り囲んでいるのだから、もはや犯罪臭しかしない。
 さすがに地上波ならアウトだろうが、ロリTVはガチだから、これもそのまま無修正で放送される。
 というか、このパートは桃山園の発案で生配信だ。
 まったく思いつきだけで生きている男である。
 もともとこの企画は、一日かけて撮影した素材をネット経由で本社に送って、翌日の夜に配信していく予定だった。つまり一日ごとに撮った素材で放送する必要があったために、初日のスローペースに桃山園が苦言をていしたわけだ。(それを考えれば、昨夜深夜まで美耶子を離さなかったのは放送用の撮れ高を増やすためだったのか……)
 その予定をあっさり覆し、まず6時から生特番、「ファンミーティング・イン・サッポロ」を配信し、その流れで第一回の放送につなげることにしたのだ。
 ロリTVの編成担当者は顔面蒼白になったろうが、そこはドル箱女優・美耶子の番組であるし、桃山園もこの業界ではいちおう大物ということになっている。それにネットTVが地上波と違うところは、流す番組はチャンネル数に縛られない。
 問題があるとすれば告知が行き届くかどうかだが、その点、美耶子のツイッターのフォロワーは全世界に数百万人いる。美耶子が「おにいちゃん、みてね」とつぶやけばオールオッケーだ。
 放送機材と回線は、札幌のロリTVの協力会社に頼んで揃えてもらったが、カメラは桃山園がコントロールする固定カメラ2台と、おれの手持ちカメラだけだ。これで全世界にリアルタイム配信しようってんだから、桃山園は狂人か天才のいずれかだろう。そして、どっちに転んでも変態なのは変わらない。
「今晩から放送開始する『美耶子のバレンタイン大作戦』、おにいちゃんたち予約はオッケーですかー?」
 マイクロビキニの美耶子が可愛くグーを突き上げるのにあわせて、おおおー、と鬨の声をあげるパンいち目出し帽軍団。
 配信中の画面をPCでモニターすると、画面内でも「うぉおおーい」とか「予約済みなりー」などの書き込みがものすごい。英語や中国語、ハングル、謎の言語もある。
 予約というのは、有料番組の配信予約のことだ。この一本だけで、億単位のカネが動く。

「じゃあ、今日から始まる、バレンタイン大作戦のルールを説明しまーす!」
 美耶子がフリップを出して、サイコロの目の説明を始める。
「サイコロの目にあわせたプレゼントを美耶子があげるんだよ! これから札幌のおにいちゃんたちと実際にしてみるね!」
 おおおおー! と盛り上がる目出し帽軍団。
「しかも、ファンミーティングなので、特別ルール!」
 説明しよう、と桃山園の陰ナレが入る。陰ナレとは顔出しせずにナレーションすることだ。この番組では基本、おれも桃山園も映らない。
 ファンミーティング専用ルールとはこうだ。
 まず、当選者たちと美耶子でいくつかミニゲームをする。それがサイコロを振るかわりになる。勝った者がご褒美を得るのだが、それはもちろんエッチなものだ。しかも、より過激、かつマニアックになっている。
 このあたりは、急遽呼び寄せた当選者たちへの配慮だ。ゲームの勝者が自分のフェチを満たせるように、事前にリクエストをきいている。
 たとえば、自称・商社マンの桑原(仮名)氏の場合は、「女装した自分の尿道孔だけを吸ってイカせてほしい」もしくは「女装した自分をスケ番に扮した美耶子がいたぶりながら、騎上位で中出しフィニッシュ」というものだった。いずれも難易度高いな。
 扮装とかは無理、と言ったのだが、実は桑原氏、自分用のセーラー服と美耶子用の学ランを持参してきていた。
 このように参加者が持ち込んできた持ち物は多種多様で、バイブやら拘束具やら納豆やら蜂蜜やら、挙げ句の果てにはバター犬を持ち込んできた参加者もあり、美耶子ピンチすぎる。
 だが、そこまでやってこそファンへの感謝の気持ちが伝えられる、と間違った納得の仕方をして、本番に臨む美耶子はやはりプロなのだ。

つづく!

美耶子のバレンタイン大作戦 ~2日目~ 

カテゴリ:うたかた 美耶子のお仕事

美耶子のバレンタイン大作戦
~2日目~

※1日目は「超世紀莫迦」ウェブサイトで公開中!

 1 死闘! 札幌編

 二日目の札幌ロケはのっけから雲行きがあやしかった。初日のスローペースがたたり、ノルマが増えたからだ。その日だけで十数件ものロケをこなさなければならない。
 さすが大都市札幌は美耶子のファンも多く、バレンタインプレゼントの競争率も百倍以上にのぼったそうだ。応募にはロリTVの有料番組の視聴ポイントをためる必要があるから、当選者たちがいったいいくらロリTVにつぎこんだかは想像を絶する。
 ロリTVは定額で見放題というヤワなシステムではないのだ。人気番組――美耶子のような超人気子役が出演する、しかもガチなやつともなると、高額な視聴料を、しかも番組単位で、払わないといけないのだ。
 そんな苦労を経て当選した彼らをブッチして北海道を去るわけには行かず、怒濤のロケ地獄が始まったわけだ。
 思い返せば初日にあたった人々は幸運だった……
 あのときは美耶子にも余裕があって、サービスも細やかだった。
 当選率も高かったろう。たぶん、富良野の田所さんとか、あのあたりでは、ほかに応募者いなかったんじゃないか? 観光地の絵を押さえたい、とかで倍率無視で桃山園が選んだに違いない。
 ただ、幸いなことに、札幌は大都市だけに当選者の住所も比較的固まっていて、移動は効率的だった。
 逆にいえばそれだけ撮影が過密ということになる。
 さすがに今日は「1」が出てもオマケはなしにするよ、と美耶子も効率重視で臨んでいたが、あにはからんや、札幌市民は強運ぞろいか、朝から立て続けに「5」「6」「5」「5」の四連チャン。美耶子もびっくりだ。
 へとへとになって午前のロケを終えて、お昼ご飯は平岸の有名なラーメン屋へ。
 濃厚な味噌スープが力強い太麺にからみ、うまい。
 これでなんとか体力と気力を取り戻した美耶子は午後の撮影に立ち向かった……のだが。
「6」「6」「6」
 獣の数字じゃねーか。
 もしくはプロ野球の横浜ベイスターズの順位予測か。
 さすがにサイコロがおかしいんじゃないかと思って調べたが、異常はない。運か、運なのか。
 桃山園の仕掛けというわけでもなさそうだ。桃山園としても、スケジュールは気にしているはずだ。
 さすがに生本番の撮影となると、準備や後始末にも時間がかかる。美耶子の体力も削れる。ファンは夢のJS膣内射精をキメてスッキリ大満足だろうが、このままでは美耶子がもたない。
 だが、まだ札幌市内の当選者は十人も残っている。昨日の積み残しが効いている。
「やばいわね……このペースだと終わるのは深夜になっちゃうわ」
 ハンドルを握りながら桃山園が言う。
 時刻は午後三時を回っている。一人当たりの撮影時間を三十分としても、移動や準備を見込むと十時間くらいかかりそうだ。
「美耶子の調子は?」
「寝てます」
 おれは答える。後部座席で小さな口をあけて寝ている美耶子の絵をいちおう撮っておく。ほんと寝顔は宇宙一可愛いな……。
「ほんと、チンポを突っ込みたくなる口よね」
 おい。おまえはそれしかないのか……
「まあ、がきんちょの体力はもつと思うけど、あたしの方がたまんないわ……ただでさえ昨日は寝不足だったのに」
 桃山園がサングラスの奥の目をしょぼしょぼさせる。
 それはおまえが撮影と称して自室に美耶子を連れ込んで、朝まで解放しなかったからだろーが。どんだけハメ撮りしてたんだ。
「そうね……このままだとちょっとワンパターンでもあるし、趣向を変えることにするわ。なにしろ一人一人こっちから訪ねていくのは効率悪いし、向こうから集まってもらいましょ」
 全国のおにいちゃんの家に美耶子がチョコを届ける企画は早くも頓挫らしい。
「さっそく撮影場所の手配と当選者への連絡をお願い、よろしこー」
 全部やるのはおれかよ……

つづく

うたかた外伝・美耶子のおしごとミニ 

カテゴリ:うたかた 美耶子のお仕事

    「ノーパン始球式」

 子役の仕事は幅広い。役者の仕事がもちろんメインだが、アイドル的な歌の仕事もあるし、バラエティ番組のMCやひな壇出演、情報番組のアシスタント、各地の観光大使や、新製品のキャンペーンガールなどなど……
 そんな諸々の仕事の中には、スポーツ関係もある。もとより美耶子は身体を動かすのが大好きなタイプだから、そういう仕事には積極的だ。
 そんな折、プロ野球の始球式、という仕事が舞い込んできた。
 正確には美耶子が出演しているドラマとのタイアップだ。テレビ局つながりである。

 ということで、横浜スタジアムである。
 横浜ベイスターズの本拠地で、中華街やみなとみらいといった観光地にも近い。
 近年、ファンが増えているそうだが、その日も超満員だった。土曜日ということもあるのかもしれないが。
 始球式というのは、試合が始まる前のセレモニーだ。ゲストがマウンドに立って、ボールを投げる。アイドルや女優が投げるときはだいたいはキャッチャーまで届かないものだが、ノーバウンドで届かせるとそれだけで拍手喝采となる。スポーツ新聞でも「ノーバン始球式」という見出しが躍るほどだ。
「ぜったい届かせるからね!」
 美耶子も超張り切っていた。
「ぜったい、ハリさんにアッパレをもらうんだ!」
 たしかに十歳の子役がノーバウンドでキャッチャーまで届かせれば、ちょとした話題にはなるだろう。日曜朝のテレビ番組の名物コーナーで採り上げられる可能性はある。
「特訓もしたからね!」
 たしかに、つきあわされてキャッチボールをしたなあ。
 美耶子のやつ、意外に本格的なフォームで投げていた。
「まずは野茂!」
 トルネードかよ。
「次は牧田ァ!」
 サブマリンかよ。
「最後は則本ォ! 二桁奪三振日本記録ゥ!」
 美耶子、おまえパ・リーグファンなのか? てゆーか、時事ネタを挟むのやめなさい。
 野球経験がない女子がボールを投げるときは、上体だけを使ってしまいがちで、身体が泳ぐかたちになり、ボールに力が伝わらない。だが、美耶子はネットで動画を見てフォームを研究していた。
 しっかりステップして、軸足に体重を乗せている。肘の使い方は天性のものを感じるほどだ。
 だが。
 コントロールは絶望的だった。一球たりともストライクはおろか、キャッチャーが捕れる範囲に球は来なかった――それが昨夜の特訓の状況だった。
 これじゃあ、アッパレどころか、「ノーバン始球式」の見出しも難しいだろう。

 いよいよ本番だ。
 3万近い大観衆だが、コンサートではそれ以上の動員を経験している美耶子だ。物怖じはしない。ベイスターズのユニフォーム(女の子向けのピンクの可愛いデザインだった)に、白のミニスカート。
 マウンドに立った美耶子はちっちゃかった。側に立っているのがプロ野球選手だがら、さらに対比がすごい。
「さあ、宇多方美耶子ちゃん、ノーバン始球式を目指して特訓したそうです! 果たしてノーバン始球式、達成なるか!?」
 スタジアムDJが煽る。
 スコアボードの大型スクリーンには美耶子が大写しになっている。さすがに少し緊張しているのか、表情は硬い。
 だが。
「いくよ! みててゆういち! これがわたしなりのノーバン始球式だよ!」
 ゆったりとしたワインドアップ。思わぬ本格的なモーション始動に野球ファンたちが「おぉ」と唸る。
 そして、左足を高々と上げる。
「これは――このフォームは!?」
 叫ぶスタジアムDJ、どよめくスタンド。
 おれもアニメで見たことあるぞ、これ、たしか、「巨人の星」の、あの、足を上げてビシィーンってなるやつだ。
 しかも、だ。
「はいてない――!」
「はいてないぞぉおおおお!」
「うおおおおおおおおおお!」
 ものすごい歓声があがる。
 美耶子のやつ――パンツはいていやがらねえ。ミニスカートだから、足をあんなに上げたら、丸見えだ。
 現に、スコアボードの大画面には、美耶子のワレメがアップで抜かれている。たしか、今日はドラマタイアップ局で、地上波全国生中継だぞ……
 美耶子はゆったりと足を上げたまま、きゅっと腰をひねり、ワレメの中を見せつけるようにしながら――投げた。
 奇跡か。
 これまで一度たりともストライクゾーンに行かなかったのに――ヘロヘロ球ながら、ボールはキャッチャーまでギリギリとどい――たかと思ったが、突如目の前でJS子役のワレメをみせられたキャッチャーは呆然としており、ボールの捕球を忘れて後逸してしまった。バッターもバットを振るのを忘れ、審判もコールを忘れていた。
 その後、球史に残る大乱交が起こったのはいうまでもない。美耶子のワレメを至近距離で見た男達が理性を保てるわけがないしな……

 その日のスポーツニュースに出た見出しは、もう想像できるだろう。

 そう、もちろん、「宇多方美耶子、ノーパン子宮好き、大性交!」だ。


                                ちゃんちゃん




PCサイト復帰しました。 

カテゴリ:日記

 ずいぶん放置しておりましたが、PCサイト「超世紀莫迦」を復活いたしました。以前のアドレスは失効しておりましたので、あらたにページを設定しました。

 新しいアドレスは、http://aprilfool-novel.sakura.ne.jp/ です。

 中断中に書いた「美耶子のお仕事シリーズ6」もアーカイブしていたりします。

 基本的には、気が向いたときに小説を書いてアーカイブする、という使い方になると思いますが、よかったら見てやってください。

 中断中にお便りいただいた方、ありがとうございました!

 超世紀莫迦


挿絵インデックス 

カテゴリ:日記

本店の方で、これまで描いた挿絵のキャラ別/作品別インデックスを作成する企画を開始。

第一弾は美耶子です。

それにしても描く度に顔が違うというのは……

びっちな美耶子の一週間のあとがき 

カテゴリ:日記

 といいますか、終了ご報告です。

 久々の更新があっという間に終わってすみません。

 外伝世界での美耶子の一週間をリアルタイムに感じていただきたいなと思ったもので。

 勢いで書き上げたというのもありましたし……

 それにしてもひどい設定ですね。この世界の人たちはみんな頭おかしいです。

 ともあれ、久しぶりの更新でした。また何かできあがりましたら、おつきあいください。

 なお、本店にアーカイブをおこないました。まとめて読みたい方はそちらもご利用ください。

 それでは…… ノシ

びっちな美耶子の一週間! (終) 

カテゴリ:うたかた 美耶子のお仕事

 [日曜日] ……

 さすがに日曜は休ませてくれよ……

 美耶子も「プリキュア」見たり「ワンピース」見たりするので忙しいんだよ。

 それに今日くらいはイチャイチャさせてくれ。

 もちろんセックスは(表だっては)できないけど、美耶子と添い寝しながら「ちびまるこちゃん」と「サザエさん」を見て、月曜日から始まるお仕事に備えるのだ。


 ――主曰く

 日曜くらい休め。



         「びっちな美耶子の一週間!」おしまい



びっちな美耶子の一週間! (11) 

カテゴリ:うたかた 美耶子のお仕事

 
 [土曜日] ユーザーイベント(秋葉原) その2

 美耶子は見せパンを会場に投げた。大歓声、争奪戦――会場が確かに揺れた。だが、それ以上の騒ぎにならなかったのは、パニックを起こしてしまうとイベントが間違いなく中止になるというギリギリの分別が働いたからだろう。
 ネット上でもコメントが爆発した、大半は「現地組うらやましすぎ」というものだ。

 美耶子はステージを歩き回りながら歌ってみせる。まるで本物のアイドルのようだ――いや、いま美耶子はアイドル歌手を「演じて」いるのだ。美耶子の演技力はステージに本物のアイドルを出現させてしまう。

 ♪ 「はいてる? はいてない!?」
 
 はいているとか はいてないとか
 どうしてそんなこと気にするの?
 こんな薄い布きれ一枚で
 わたしのことを縛らないで

 はいてるわたしはとってもおしとやか
 お嬢様みたいに気取って歩くわ
 意地悪な風がスカートめくっても
 軽く手でおさえてスキップするの

 はいてないわたしはもっと自由だわ
 男の子みたいに駆け回りたい
 短いスカートなんかじゃ守れない
 秘密の花園見つけてね

 今日のわたしはどっちかな?
 はいてる? はいてない!?
 今日のわたしを当ててみて!
 はいてる? はいてない!?
 それは、あなた次第なの

 間奏に入るとソロダンスパートだ。
「WONDER12」のユニットなら、五人のメンバーが入れ替わり立ち替わりで踊るところだが、ここは美耶子一人だ。

『はいてる? はいてない!?』
 観客が完璧にタイミングを揃えて合いの手を入れる。

 美耶子はくるりとターンして、青白の縞パン――シルクの薄手のやつ――を見せた。
「はいてるよ!」
 おおおお、と盛り上がる会場。見せパンという伏線をあらかじめ張ってあるから、この生パンは嬉しいはずだ。
 しかも青と白の縞パンは「おにいちゃん大好き!」でのパンチラシーンの定番だったし、ファンにとっては思い出深いアイテムのはずだ。

『はいてる? はいてない!?』
 2回目のソロダンス。

 美耶子はくるっと背中を向けて、おしりを突き出した。いつの間にか、おしりを覆う部分をふんどしのように細くして、おしりの山が露出するようにしている。
「はいてるったら!」
 いや、ケツ見えてるし。
 会場絶叫、動画上のコメントは悲嘆に染まる。「なぜ俺はあそこにいない!?」

『はいてる? はいてない!?』
 3回目のターン。

 ステージの奥に移動した美耶子はすっと腰をかがめ――
「脱いじゃった!」
 青白のストライプの小さな布をかざして見せる。
 おい、そこまでやるか――やるよな、美耶子なら。
 会場のボルテージはMAXを超えていた。
 美耶子はパンティを会場に投げ込むモーションをして、ストップ。
「これは、生放送を見てる人にプレゼントするね。応募方法はファンクラブのホームページで!」
 おい。何も考えてないだろ。あのページを管理してるのはおれなんだぞ。どうやって応募と抽選やりゃあいいんだ。
 とまれ、生放送組にも生きる希望がわいてきたらしい。コメントにも希望に満ちたものが増えてきた。

 そうこうするうちに4回目のコール。
『はいてる? はいてない!?』

「もちろん!」
 美耶子はステージの最前部まで進み、自分でスカートを盛大にめくり上げる。
 両脚を開いて立っている、美耶子のまっすぐで細い脚の間に、会場内のすべての視線が集中する。
「はいてないよ!」
 美耶子のワレメが、500人のファンの前で開帳された。ネット配信では一万人を超えていたろうか。
 歓声、狂喜、興奮――ポジティブな感情の塊が会場全体に、ネットワークのそこかしこで、爆発する。
 この瞬間、確かに世界のある一部は、一切の哀しみや苦しみ、人を傷つけるネガティブな感情から解放され、幸福感、高揚感のみに満たされていた。

 会場も、ネットも完全にひとつになっていた。
 最後の、一番大切なコール。センターの美耶子のソロダンスを呼び込むコール。
『はいてる? はいてない!?』
 ものすごい大歓声が――

 美耶子はたぶんこの瞬間、イッてたと思う。これだけの視線、一体感、そして、愛され、求められているという実感。
 それはエクスタシーにつながる。
 極まった美耶子はバレリーナさながらに脚をピンと伸ばし、立ったまま開脚ポーズをとる。
 これ以上はないというくらいのくぱあだ。正面カメラに向かって、完全にワレメが開き、膣口まで見えている。クリトリスも尿道孔も。肛門ももちろん。
「もうパンツなんかはかないよ! みんな、大好き!」
 会場は歓喜の声に包まれ、「生きてて良かった」の大合唱がとどろいた。
 生配信でもカメラに向かってのフルくぱあのおかげで昇天者が続出した。

 実際、やばいところだった、イッてしまった美耶子を回収し、イベント会場裏のクルマに移動した。
 あのままだと、美耶子は自分で観客の中にダイブしかねなかった。もしそんなことをしていたら、興奮の極みの観客たちに輪姦されていたかもしれない。いや、意外に丁重に扱われた可能性もあるが――

 とまれ、すっきりした顔をして寝息をたてはじめた美耶子を眺めながら、この事態をどう収拾するか頭を悩ませるおれであった。

 まあ、後日談的には、「お兄ちゃん大好き!」のDVD&ブルーレイボックス・リパッケージ版はバカ売れした。発売記念イベントの様子をおまけディスクにして添付するようにしたからだ。購入済みのユーザーにも行き渡るように、そこはパブリッシャーが頑張ったということもある。
 あのイベントはファンの間で「伝説」となり、会場に居合わせた500人はその目撃者として仲間内から羨ましがられる存在となった。
 おそらく今後も似たようなリパッケージ商法が行なわれることだろう。その際に美耶子がイベントに引っ張り出されても、あまり派手なことはしないように言い含めておくしかない――無駄だろうけど。

               おつかれー、またね!

びっちな美耶子の一週間! (10) 

カテゴリ:うたかた 美耶子のお仕事

 [土曜日] ユーザーイベント(秋葉原) その1

 やっとこさ今週も終わりだ。
 ゆっくり休みたいところだが、実は子役タレントは休みの日の方が忙しい。学校がない分、仕事を入れやすいからだ。
 この日は朝から、雑誌取材に歌のレッスン、次週のドラマ撮影の脚本読み、イベント出演など、分刻みでスケジュールが詰まっていた。
 仕事は絞り込むようにしているのだが、どうしても断り切れない仕事に限ってさえ、こなしきれないほどだ。
 だが、美耶子はいたって元気だ。
 どの現場でもいやな顔ひとつしない――おれ以外の誰かがいるときには。
 基本、外面が良いキャラなのだ。その反動でとばっちりを受けるのはおれの役割である。
「ゆーいち、ジュース買ってきて」
「ゆーいち、肩もんで、あと脚も」
「ゆーいち、焼きプリンが食べたい」
「ゆーいち、おもしろいことゆって」
 などといった突発リクエストは日常茶飯事。
「この脚本だめだと思う。リテイクかけて」
「企画がつまんない。イミフ」
 といったことも言ってくる。ほっておくと、偉いさん相手にも「にこにこしながら」本当のことを言いかねないため、おれが間に立って書き直しを依頼したり、企画の代替案を出したりしなければならない。そのため、業界内でおれの評判はすこぶる悪い。
 いわく――宇多方美耶子のマネージャーは素人のくせに現場に細かく口を出してくるらしい。
 まあ、しょうがないけどな。

 土曜日最後の仕事は、ファン向けのイベントへの出演だった。
 場所は秋葉原だ。
 美耶子が出演したドラマのDVD&ブルーレイボックス発売記念イベントである。
「おにいちゃん大好き!」シリーズの総集編というか、リパッケージ版。
 はっきり言えば、ファン向けのコレクターズアイテムであって、本編に新しい要素はない。未公開シーンがちょっと追加されているとか、あんなシーンやこんなシーンが前よりハッキリ見えるようになったとか、そんな程度のおまけもない。
 それでも濃いファンは、パッケージが変わっただけで、何万円もするセットを買いなおすのだ。同じような内容の映像ソフトをもう持っていても、だ。
 美耶子にとっても出世作ではあるので、このシリーズの関連商品の販促にはできるだけ協力するようにしている。
 とはいえ、さすがに「えぐい商売だよなあ」と思わざるをえない。
 美耶子も同感らしく、今回は気があまり乗らないようだった。
 イベント会場は秋葉原YDX。秋葉原では有名なイベントスペースだが、DVD&ブルーレイボックス購入者向けイベント参加券は瞬く間に配布終了。500人の定員がいっぱいになった。信じられるか、そいつら全員、「もう持ってる」はずのドラマのDVD&ブルーレイボックスを何万もかけて買いなおしたんだぜ。秋葉原だけでもその何倍もの購入者がいて、全国だったら、さらに――だ。その全国の購入者向けにイベント会場の動画は生配信されることになっている。
 美耶子はドラマのキャラに合わせてツインテールの髪型にしていた。衣装もそれっぽいタンクトップとミニスカートだ。スカートの下は見せパンをはかせている。この手のイベントでは必ず盗撮野郎が出没するからだ。
 イベント会場はファンの熱気で実になんというか……臭かった。この臭気だけは馴れることはむずかしい。彼らファンが美耶子をサポートしてくれる大切な存在だとしても、まあ、生理的にむずかしいところはあるのだ。すまん。
 イベントが始まった。
 前半はドラマの原作者やら主題歌を担当したアーティストやらが登場してのトークセッション&ミニライブだったが、大半の客の目当ては美耶子なので、盛り上がらないことといったら。
 ディレクターの桃山園が出てきたコーナーは、場内いっせいにブーイングが巻き起こったほどだ。
 生配信されている動画上でも桃山園へのコメントはひどいものだった。
 ど変態、ロリペド、くされチンコ、無能演出家、サングラスが似合ってない、脚が短すぎる、明らかにハゲてる、くさそう。
 桃山園がガチで落ち込んでいるのを見るのはちょっと痛快だったが。
 そして、イベントも終盤になりようやく美耶子の登場だ。
 よみがえる場内のテンション。
 女性MCの司会で、美耶子が撮影時の想い出を語るというありがちな趣向だが、まあ、いろいろハプニングもあったシリーズなので、ちょっとボカしつつも裏話を美耶子が披露すると場内はおおいに盛り上がった。撮影中のポロリ話とかは鉄板だよな。
 下ネタつながりで、「実は、今日スカートの下に穿いてるのは見せパンです」と告白し、スカートをめくってみせた時などは最高の盛り上がりを見せた。
 こういうトーク力をいったい、いつ身につけたんだろうな。感心するよまったく。
 順調にメニューを消化していき、最後のコーナー「ファンからの質問」となった。これが終わったら、美耶子は一曲歌って、イベント自体終了となる。
 「ファンからの質問」コーナーは、ファンの代表者からの質問に美耶子が答えていく趣向だが、質問者はあらかじめ決まっていて、内容も主催者のチェック済みのあたりさわりのないものだ。
 好きな食べ物はなんですか
 共演者のなかで仲のよいひとは
 休みの日にはなにをしてますか
 すきな男の子のタイプは
 などなど。
 美耶子がこれまで何十回も答えてきたような質問ばかりで、ファンなら当然暗記して当然の内容だ。
 さすがに美耶子もイラっとしてきたようだ。
「えっとぉ、じゃあ、わたしからいいですか? 会場のお客さんに質問して」
 台本にない提案をされてMCは一瞬戸惑ったようだが、流れ的にダメというわけにもいかず、それを受け入れた。
 このとき、おれもちょっといやな予感はしたのだが……
「えー、この会場の中で『おにいちゃん大好き! コンプリートボックス』を持ってる人ぉ」
 今回のリパッケージ版の前に出たセットだ。確か限定発売で八万くらいしたはずだ。
 会場の客の過半数が手をあげた。おお、濃いな。
「えーと、じゃあ、よりぬき傑作選ボックスを持ってる人」
 これも半分近くが手をあげる。
「じゃあじゃあ、スーパーパーフェクトボックスはぁ」
 これも半分以上。
「じゃーねえ、オリジナル版を1枚ずつ買って揃えた人」
 半数を大きく超えて――七割超えかもしれない。
「うわ……みんな、はじめの頃から応援してくれてたんだね、ありがとう」
 美耶子が感極まったように手を振ると、観客も絶叫で返す。
 これはこれで感動的なフィナーレにつながりそうだ、と思ったときに美耶子が爆弾を投げつけた。
「でも、今回のリパッケージ版、ぼってるよね」
 さらっと。
 言っちゃった。
「だって、はっきりいってパッケージ変わっただけでしょ。それなのに、みんな買い直しちゃったんだよね……それってお金の無駄だよ」
 ざわざわざわ……
 観客がただならぬ雰囲気を感じてざわめく。
「じゃ、じゃあ質問コーナーはこれで終わりに――」
 まずいと思ったかMCがコーナーを締めようとする。それを手で制した美耶子。
「み、美耶子ちゃん……?」
「ごめんなさい! 今回のリパッケージ版は、正直、こんな値段で買ってもらえる商品じゃなかったと思う。せめて、新しい映像やインタビューとか、新しく買ってもらえるような内容を付け加えるべきでした。出演者の一人として、買ってくれたみなさんにあやまります!」
 おおおおお、と観客たちが吠え立てる。美耶子コールが起きる。
「そして、みんなのまわりの人で、まだ買ってない人には、リパッケージ版は買わなくてもいいよって、広めてください!」
 この発言に主催者側は泡をふいて慌てだす。
 イベントを急遽中止させようとするが、そんなことをしたら暴動が起きる、と、おれは忠告した。
 実際、美耶子をステージから引きずり下ろそうとでもしたら、五〇〇人の客がそのまま暴徒になりかねない。
「あの、メーカーの人、聞いてたらお願いします! もし、今後、こういう商品の企画があるんだったら、一出演者として新作映像でもなんでも出ますから、もうこんなファンの人を食い物にするような商品は出さないでください!」
 言い切っちゃったよ。いちおう、このリパッケージ版を企画・発売したのは超大手のパブリッシャーなんだけど……
 美耶子コールがすさまじい。会場は大騒ぎだった。
 ただ、中には批判的な声もなくはなかった。
「美耶子ちゃんがそう言ったって、今回何万も出してリパッケージ版を買った我々はどうなるの? 返品に応えてくれるの?」
 正論だ。
 だが、ここで、もし美耶子が「返品に応えます」と言った類の発言をしてしまったら、全国でパニックが起きてしまう。パブリッシャーだけではなく、全国のショップが大混乱するだろう。
 その声に対して、おれの美耶子は――
 そのまま迎合せず、といって否定もせず、聞こえなかったふりも――しなかった。
 かわりに行動した。
 スカートの下にさっと手を入れて、ずいっとずりさげた。見せパンを脱ぎ捨てたのだ。
「今回の映像特典を、ここで提供しまーす! リパッケージ版ご購入者のみなさん、どうか、これで許してね!」
 見せパンを指先にかけてくるくると回す。
 音楽が流れ出す。おれが音響スタッフを脅して――じゃない、促して流させたのだ。もともとコーナー終わりに歌うはずだった、「はいてる? はいてない!?」のカラオケだ。

            そして一週間のおわり……

びっちな美耶子の一週間! (9) 

カテゴリ:うたかた 美耶子のお仕事

 [金曜日]ドラマ撮影(スペシャルドラマ「美耶姫異聞」) その4

 まるで、それこそが現実のようだった。
 おれは完全に引き込まれていた。カメラや照明、音声その他のスタッフがいることも忘れ、ただただ、南小路と美耶子の演技――完全に即興だ――に見入っていた。
 スタッフたちもきっとそうだったろう。ギリギリのプロ意識で自分の仕事は果たしつつも、目の前の情景に心を奪われていたにちがいない。
 南小路は、逃げようとする美耶子を背後から押さえつけた。
 もがくが、美耶子は小柄な少女。尻を掲げさせられ、屈辱的な姿勢をとらされる。
 南小路欣也の股間は隆々とそそり立っていた。勃起不全など、とんでもない。使い込まれた、現役バリバリのペニスだった。亀頭は大きくエラをはり、竿は反り返り裏筋が見えるほどだった。
「まさか……勃起しないようにコントロールしてたとはね……」
 桃山園が驚愕の声をもらす。
「これが大御所クラスの俳優の実力……」
 南小路欣也は、美耶子をバックから貫いた。
「あっ――あぁぁぁぅやぁああーーーーーっ!」
 美耶子がのけぞり絶叫する。
 巨根が美耶子の膣を限界まで押し広げているのがわかる。
 竿の半分どころか、三分の一くらいしか埋まっていないのに、子宮まで亀頭は届いているだろう。
 かるく出し入れするだけで、子宮ごと貫かれている。
「おお、美耶姫――やわ魔羅でほぐしておいただけあって、いい具合に馴染んでおるぞ。子袋も巾着のように締めつけてきて良い具合じゃ」
 南小路は笑いながら美耶子のおなかをさする。
「おう、こうすれば、中に入っておるわが魔羅の形もよくわかる」
「うっ、ああああああっ!」
 美耶子の身体を持ち上げる。今度は逆駅弁の形で、美耶子のお腹をカメラに見せつける。
 南小路のペニスが美耶子の胎内を擦り立てるさまが、腹部の陰影でわかる――
 結合部は見えないのに、ガチ交尾の様子が見て取れる驚愕のアングルだ。
「いっああああああ! や、やばい、やばいよおおおおっ!」
 美耶子の声がうわずり、現代語が思わず混ざる。
「おなかのなか……ぐちゃぐちゃになっちゃ……うふっああああああっ!」
「いい具合だ、気持ちいいぞ、美耶姫。そうら、もっと感じろ、はらわたの感覚に身をゆだねるのだ!」
 美耶子の両の腕をつかみ、前に投げ出すようにする。両腕と結合部の三点だけで体重を支えることになり、挿入がさらに深まる。
「あああああ……つき……ぬけるぅ!」
 子宮を槍で突き上げられているような形だ。美耶子は涙とよだれをたらして虚空を見ている。
「危険だ! やめさせよう!」
 幼い美耶子の膣は大人にくらべれば狭く短い。そこに並外れて大きな南小路のペニスを根元近くまで挿し込まれたら、最悪の事態も考えられる。
 飛び出そうとするおれを桃山園がまたもさえぎる。
「行かせないわよ――あたしにとっても一世一代の撮影なのよ。こんなものすごいシーン、二度と撮れないわ」
「美耶子が死んじまうぞ!」
「だから、だいじょうぶなのよ。南小路欣也を、そして宇多方美耶子を信じるの――ね、お願い!」
 桃山園が泣きそうな顔で懇願する。ばかな。だって、美耶子はあんなに苦しそうに――
「あ……ああ……はああ……」
 美耶子は蕩けていた。
 激しく南小路にバックから、逆駅弁で突かれながら――突かれる度に脚をぴーんと伸ばし、足指をきゅっとさせながら。
「すごい……これすごい……よぅ……おなかとけちゃうよぉ……」
 子宮を突かれ続け、そこに快感を発生するようになったのか――
 ボルチオオーガズムを覚えてしまったのか。
 年端もいかない少女が――
 いや、違う。子宮を性感帯に変えられたのは美耶姫だ。
 美耶姫は巫女で、特別な力を持っている。
 これまでの行為はすべて、この状態に美耶姫を導くためだったのだ。
「子袋の準備が整ったか――今こそ見せてもらうぞ、その巫女の力――その幼きはらわたにわが種を注いで、あやかしどもの主を孕ませてくれる」
 さらに激しく男根を突き立てる。まるで、子宮そのものをかきませるかのように。
「あああああっ! いくううっ! おなかのなかがトロけて、いくぅうううっ!」
 美耶姫が絶叫する。
「こ、こんなのすごすぎるよおおっ! おじいちゃんのおっきいチンポが、美耶のおまんこのなかでいっぱいになって……おなかのいちばん奥をぐちゃぐちゃにしちゃってるのぉおおおっ!」
「よおおし、では出すぞ、美耶姫! わが子種を、受け取るがよいわ!」
 悪徳大名はひときわ大きく美耶姫を二度、三度と突き上げる。
「いくっ! いくうっ! いきつづけてりゅううううううっ!」
「おうっ!」
 びぐっ! びぐびくびぐっ!
 美耶姫の痙攣的な動きで、大量の精液が美耶姫の子宮内に撃ち出されたのがわかる。わかってしまう。
「でてりゅ……しゅごい熱いのが……おなかのおくでぇ……ああああああっ! いくっいくっ、いくぅーーーーーーっ!」
 断末魔のような声をあげつつ、美耶姫は壮絶に気をやった。
 太腿を伝い落ちるしずくは失禁のためだろう。
 悪徳大名は美耶姫の腕を離した。人形のようにぶらり美耶姫は倒れこむ。その動きに合わせて、膣から男根が抜けていく。こんな長いものが少女の胎内に収まっていたのか、と驚嘆するほど長い竿だった。
 ちゅぽん、と音をたてて亀頭が抜けると、美耶姫はそのまま褥にうつぶせになる。気をやったまま、失神したようだ。おしりを高く掲げた格好で、結合部がどうなっているかがよく見える。
 男根の形にぽっかり口を開いた膣口からは、胎内におさまりきらなかった精液が泡立ちながら、どろどろと零れ出ていた。量といい濃さといい、老人とは思えない。これならば排卵前の少女でも妊娠するのではないか――そう思えてしまうくらいに。
 悪徳大名は、美耶姫を見下ろしている。だが、その視線には今までのような昂ぶりや荒々しさはない。
 まるで初孫を見つめる祖父のような、優しいまなざしだった。
「美耶――よくがんばったな……あとは天命を待つのみ。運命がわしらを引き裂こうと――あの若侍がここにたどりつく時が来ようとも――わしは――美耶、おまえを愛し続けるだろう」
 そのまま悪徳大名は動かない。まるで、燃え尽きた彫像のように、ぴくりとも動かない――
 
「カーット!」

 しばらくのあいだ静止していた時間が、桃山園のその声でようやく動き出す。
 スタッフはようやく我に返り、ルーティンの作業に復帰する。
 南小路欣也は、駆け寄ってきたマネージャーが手渡したバスローブに悠然と袖を通した。
 そして、セット脇で固まっているおれに視線を向けた。
 表情が動く。
「わたしのスタンドかね? ご苦労さま。出番がなくて申し訳なかったね」
 おれの扮装を見てそう判断したのだろう。
「実のところ、勃たなかったらどうしようと思ってたんだ。でも、相手役に恵まれたおかげでうまくできたよ。宇多方美耶子ちゃんか――まだ十歳だなんて信じられないね」
 軽く溜息をつく。つくづく驚いた、とでも言うように。
「とっくに枯れていたんだよ、わたしは。実際のところ最後に射精をしたのはいつだったか思い出せないほどだ。つまり、あのシーンは、わたしではなく、美耶子ちゃんが導いたものだったんだよ」
 まさか――信じられない――この撮影の間じゅう、ずっと美耶子は圧倒されていた。名優・南小路欣也の掌の上で転がされていた。だが、そうではない、と南小路自身が告白したのだ。
「ともあれ、美耶子ちゃんと共演できて、孫にも自慢できるよ。困ったことにうちの孫は子役志願でね、美耶子ちゃんみたいになりたいんだそうだ。いつか、きみたちとも仕事を一緒にすることがあるかもしれないな」
 南小路欣也は軽く手をあげかけた。
「それではね、若侍くん――」
「え?」
 おれは南小路の言葉に疑問の声をあげた。おれは南小路のスタンドで、格好も悪徳大名のそれだ。若侍はキモタクの役で、今日は撮影はない。そもそもキモタクはスタンドを必要としない。
「ああ、いや――美耶子ちゃんがね――自覚していなかったようだけど、若侍を思い浮かべて演技するシーンでことごとくきみの方に注意を向けていたんだよ。むろんはっきり視線を動かすようなミスはしていなかったけどね、きみをとても気にしていたよ。最後のシーンなんて特にね。よほどきみのことを想っているんだね。まあ、その気持ちを誘導して、こちらも芝居を組み立てることができたのだがね――」
 おれは思わず美耶子の方を見た。美耶子もバスローブを着せてもらい、女性ADからホットミルクのカップを受け取っているところだった。偶然だとは思うが、モロに目が合ってしまった。美耶子が「どうだった?」というように表情を動かし、おれはどぎまぎして視線をそらした。
「ね? 若侍を見る目だろ?」
 南小路はあげかけた腕をおろしておれの肩をぽんぽんと叩いた。親愛の情をこめた――しかし、明確な敵愾心も秘めた――
「近いうちに美耶子ちゃんとは共演したいね。もちろん、スタンドなしで」
 まるでおれをライバル視するかのような茶目っ気たっぷりなウィンクをかの名優はして見せたのだった。

 この日の撮影での悪徳大名と美耶姫の濡れ場は、実に2時間を超えていたため、テレビ放映では大幅にカットせざるを得なかった。それでも、テレビ初の老人×子役・生挿入はばっちり放送され大反響となった。そこで、悪徳大名とのエピソードを中心にまとめなおした劇場版が作られることになった。
 追加シーンの撮影のために南小路欣也と再会した美耶子が「おじいちゃま大好きっ子」になっていたことや、この作品で子役デビューを果たした南小路の孫娘・果歩が色々な意味でとんでもない逸材だったこととかは――また別の話。

           土曜日に続く……!